在宅勤務の需要により、手書き原稿を
データ化する機会が増えました。
効率的かつ、きれいに原稿を撮影するためには
どうすればよいか、スマートフォンアプリ
「AdobeScan」を使って実験を行いました。
在宅勤務時の原稿データ化
昨今、多くの企業が在宅勤務を導入し、リモートワークを行うための環境整備が一気に進みました。出版業界も同様で、オンライン校正システムなどに注目が集まるようになりました。しかし、古くから紙の文化が根付いている出版業界では、PCやタブレット端末の画面を見ながら、スタイラスペンで指定や赤字を書き入れることに馴染めない人も多いのではないでしょうか。従来通り手書きで原稿を仕上げた場合に問題となるのが、その原稿をどうやって制作サイドに入稿するかという点です。現在、多くの企業に複合機プリンタが導入されていますので、出社さえしていれば簡単に複数枚の原稿をスキャンしPDF化することができます。しかし、自宅ではそうはいきません。在宅勤務の広がりに伴って、当社へもスマートフォンのカメラで撮影した原稿が入稿されるようになりました。
現在のスマートフォンのカメラは解像度も高く非常に多機能ですが、撮影条件によって色かぶりや色抜けが発生し、そのために指示が判りづらくなると作業効率の低下や、時には事故の原因にもなります。
そこで、スマートフォンのほかに、簡単に購入できる機材だけを使用して、紙の原稿をきれいにスキャンする方法について検証してみました。
必要なアプリや用具
撮影には、スマートフォンアプリ「AdobeScan」を使用します。AIの技術を使い書類をスキャンする用途に特化したアプリで、スマートフォンのカメラで撮影するだけで台形補正や色補正を自動的に行い、簡単に書類をPDF化することができます。
複数枚の原稿を次々と撮影するためには、スマートフォンが固定されているとスムーズです。今回は100円ショップ等で売っているスマホスタンドとデスクマットを使用しました。紙の白色とコントラストをつけるため濃い色のデスクマットを用意します。
各種実験について
今回は、「文字の可読に関する実験」、「蛍光マーカーの識別実験」、「色の識別実験」を行いました。撮影条件としては光源に上方からの蛍光灯を用い、その他の照明器具は使用していません。別途照明を付けるなどして光源を増やすとかえって影が出ることが分かりました。
検証結果の詳細は裏面をご覧ください。以下のいくつかのポイントに留意すれば、AdobeScanを使って制作サイドでも問題なく作業できる十分きれいなPDF原稿が作れることが判りました。
▶6級以下の文字は潰れる可能性が高い
▶蛍光マーカーは色によって識別が難しい
▶全面に色が敷いてあるデザインは照明を暗めにすると反射を防げる
AdobeScanはiOSでもAndroidでも使用可能です。スマートフォンの純正カメラアプリで撮影するよりも原稿を手軽に、また正確にデータ化できるので是非活用してみてください。

検証一覧
