日本語の組版において、ルビは欠かせない要素のひとつです。
当社で導入しているルビ入力支援システムの特徴、
あわせてルビ入れの最新技術についてご紹介します。
InDesignのルビ入力支援システム
ルビの指定は長い間手書きで行われていました。現在はWord上であらかじめルビを入れたテキストを入稿するのが一般的ですが、やはりルビ入れは編集者にとって負担の大きい作業です。
当社が導入しているルビ入力支援システムは、自動でInDesign文書上のすべての漢字に一括でルビを入れることができます。右表のように、モノルビ・グループルビもまとめて設定可能です。そのほか、同じ親文字に付いているルビを全文一括変更する、初出ルビのみを表示し以降のルビを非表示にするなど、様々な機能を備えています。
常用漢字であれば非常に高い精度でルビが入れられますし、難読漢字にも対応しています。ただし人名、地名などの固有名詞が多い歴史書などは一括ルビ入れが難しい場合があります。また、自動処理のため想定通りの読み仮名が入らないこともあり、このシステムでルビ入れを行った際は、当社でも出校前にチェックはしますが、お客様にも正しいルビが入っているか確認していただいています。
使用にあたってはInDesignバージョン等の条件もありますので、詳しくは担当営業までご相談ください。


Illustratorのルビ入力支援システム
雑誌やチラシ、ポスターなどは、Illustratorでデザインから組版まで完結させてしまうケースも少なくありません。ただし、Illustratorにはルビの機能が備わっていないため、ルビを入れる場合、漢字の上または右にルビ文字を一つ一つ手作業で配置していくことになり、総ルビの作業などは非常に効率が悪くミスも発生しやすくなります。
当社ではIllustratorデータも総ルビ化が可能なシステムを導入しています。Illustrator上で選択されているテキストに対して自動的にルビを付与することが可能です。
ただし、前述の通りIllustratorにはデフォルトでルビ機能がなく、このルビは親文字の近くに配置された小さなカナ文字に過ぎません。そのため、文字修正を行った際はルビが親文字と連動して移動しませんので、ある程度校了に近づいてからこの処理を行うことをお勧めしています。

PitStopを活用したルビのレベル分け
最近の教科書や学習教材では、ハンディキャップのある学習者にも分け隔てなく情報を提供できるよう、難読文字のみにルビを入れた通常版とは別に、総ルビ版を作成するケースが出てきました。
このようなルビのレベル分けを効率よく行うため、当社ではPDFのプリフライト・編集・加工アプリケーションであるPitStopを活用しています。
最初に通常版のルビを入れ、その後に総ルビ版のルビを特色で入れていきます。この処理もルビ入力支援システムで自動で行っています。PitStopで総ルビ版のルビをオンまたはオフにすることで、元のデータは1つのまま、通常版と総ルビ版の2種類のPDFを作ることが可能となります。

(実際のルビは全て同色になります)