外国語組版のご案内

InDesign機能

教科書や参考書といった学習教材だけでなく、
報告書、会社案内などでも、外国語の使用頻度は増しています。
外国語組版の現状や当社の対応についてご案内します。

外国語コンテンツの需要

当社の取り扱う制作物で最も多いのが学習参考書です。中でも英語の割合が最も多く、当社では和欧文間のアキ、約物のツメ設定、文中の特殊文字等、組版の細かなルールをマニュアル化することで、安定した品質を実現しています。
英語の学習教材だけでなく、近年ではインバウンドや外国人居住者向けの情報誌、外国人留学生や実習生向けの日本語学習書、多言語併記の会社案内や製品マニュアルなど、外国語を使ったコンテンツが増えてきました。
また最近、コロナ禍で生まれた在宅時間を語学学習にあてる人が増えているそうです。そのため当社へも韓国語や中国語など、英語以外の様々な言語の教材制作の依頼が多くなっています。

フォント、アプリの多言語対応

ラテン文字(ローマ字)は英語をはじめとした世界の多くの言語を書き表す文字で、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカの広範囲で使われていますが、これらは一般的な欧文フォントや日本語OpenTypeフォントにも含まれているため、非常に多くの伝統的な書体やアレンジ書体を使用することができます。
加えてフォントメーカーであるモリサワはラテン文字文化圏以外の各地域の言語環境にも対応できるよう、多様な外国語フォントをラインナップしています。当社ではそのすべてが使用可能です。中国語や韓国語は多くの書体がモリサワ、フォントワークスからリリースされています。使用頻度が低いため書体の種類は少なめですが、キリル文字(ロシア語)やタイ文字なども用意されています。
現在、パソコンのOSは基本的にユニコードに対応しています。ユニコードとは文字コードの国際的な業界標準の一つで、世界中の様々な言語の文字を収録した文字の集合体です。ユニコードによりPC上で多言語の混在使用が容易になりました。
また、InDesignには多言語対応コンポーザーという機能が備えられています。コンポーザーとは、文章内の可能な改行分割点の候補を評価し、段落に指定されたハイフンや行揃えなどの設定を考慮したうえで、最も適した改行分割点を選択する機能です。この機能により、英語やフランス語などはもちろんですが、文字が右から左に流れるようなアラビア語やヘブライ語も正しく組めるようになっています。

韓国語の組版

日本で多く学ばれている言語のトップ3は、英語、韓国語、中国語です。特に韓国語はK-POPや韓流ドラマなどエンタメコンテンツが話題になっていることから、学びたいという人が増えています。そのため、当社の作業実績でも英語に次いで韓国語の学習教材作成が多くなっています。
韓国語のいちばんの特徴はパッチムという特殊な発音です。韓国語教材ではパッチムをカタカナで表現する際に、「ク」「プ」「ム」「ル」等を小書き文字で使います。これらは手動で級数やベースラインを調整して表現するのですが、1文字ずつ行うのは非常に手間のかかる作業です。また、ハングルの上に読み仮名を置きたくても、InDesignのルビ機能では文字毎に級数を調整することができません。この問題を、当社では小書き文字を収録した独自のカタカナフォントを作成することで解消しました。【図1】
また韓国語をInDesignで表示するためには、韓国語部分に韓国語フォントを設定する必要がありますが、日本語と韓国語が段落内に混植される場合、韓国語の箇所だけを手動で設定していては作業効率が低下します。そのため、日本語と韓国語の合成フォントや正規表現を使用して、日本語の文章内でも韓国語が出てきた場合には自動的に韓国語フォントが設定されるようにすることで効率化を図っています。【図2】
当社ウェブサイトの「DTP組版最速への道(韓国語教材編)」でも詳しく解説していますので是非ご覧ください。

【図1】InDesignのルビ機能は文字単位で級数やベースラインを調整できない。そのため小書き文字を収録したフォントを作成し、ルビとして設定している。上図のように大文字の「O」(オー)をタイプすると小書きの「ム」になる。

【図2】和文とハングルが混植される箇所には、日本語フォントと韓国語フォントを組み合わせた合成フォントを作成。正規表現と組み合わせることで和文中にハングルが出現しても自動的にハングルのフォントが設定される。


入稿時の注意点など

以上のように、フォントやOS、アプリケーションそれぞれが多言語に対応できるように整えられ、また当社でも作業の円滑化を進めていますが、それでも多言語組版を行う際は事前の検証作業が必要です。
デザインフォーマットに使用されている書体とテキスト原稿(Wordデータ)の書体の組み合わせによっては、原稿通りに文字が表示されない可能性があります。また、キリル文字はコンポーザーの設定によって発音記号が正しく付かない場合があります。
Wordで外国語のテキスト原稿を作成する際は、日本語文書作成用にあらかじめ設定されているオートコレクト機能を外しておくとよいでしょう。
当社で入稿前にデータを確認し、必要に応じてフォーマットの調整、テキストデータ作成方法の提案などをさせていただきます。
なお、英語以外の言語の場合、組版で文字を入力することができませんので、初校組版、赤字修正問わずテキストデータを支給していただく必要があります。外国語の文字入力や校正などを希望されるお客様のためには別途、翻訳のサービスもご案内しておりますので、担当営業にお尋ねください。

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