▲■Acrobat Pro DCとは 私たちが書籍の編集業務を進めるうえで、日頃から使用しているPDFデータ。特に出版業界では欠くことのできない存在になっていて、印刷用の製版データとしても多く利用されています。 PDFを取り扱うための主なアプリケーションが、Acrobat Reader DCとAcrobat Pro DCの2つです。Acrobat Reader DCはPDFの表示、印刷、注釈の追加が可能で、無償でダウンロードでき、ほとんどのPCにプリインストールされています。 対してAcrobat Pro DCは、PDFの編集、加工を行うためのアプリケーションです。最新のバージョンには、文書比較機能やOCRなどさまざまな機能が搭載されていますが、なかでも一番注目されるのは、PDFをWordやExcel、PowerPointといったOffice形式のデータへ変換する機能です。■PDFからOfficeデータへの変換 PDFにしろOfficeアプリケーションにしろ、データの内部構造はXMLで記述されています。XMLとは文章の見た目や構造を記述するためのマークアップ言語です。これで記述されていることで、PDFとOfficeアプリケーション間のデータのやり取りが可能となりました。以前のOfficeデータの拡張子は「.doc」や「.xls」「.ppt」でしたが、現在はすべての末尾に「x」が付与され、「.docx」「.xlsx」「.pptx」となりました。この「x」がXMLで記述されていることを意味しています。Office2007以降からこの形式になっています。 データのやり取りができるようになったとはいえ、InDesignなどAdobeのグラフィックソフトで複雑にデザイン・レイアウトされたデータを完全に再現することは困難です。データの状態によっては変換した際に紙面が大きく崩れてしまうこともあります。 裏面に、いくつかのジャンルの書籍について、InDesignドキュメントから書き出したPDFをOfficeデータへ変換した結果を掲げています。 紙面構成によってWord、PowerPointそれぞれの再現度は変わりますが、どちらに変換するかは、変換後の使用目的に応じて選ばれると良いと思われます。なおExcelへの変換も可能ですが、あくまで表計算ソフトであるため、きれいに再現できるのは表組みに限られ、それ以外はアプリの特性上表現ができません。そのため、今回の検証対象からは除いています。■OfficeからInDesignへの再コンバート しかしながら、InDesignドキュメントからコンバートしたOfficeデータを、再度InDesignに戻すことは不可能です。InDesignにそういった変換を自動で行う機能はなく、そもそも段落スタイルやオブジェクトの位置情報といった、元のInDesignデータが持っていた紙面情報の多くは、コンバートの際に失われてしまっています。それらを正確に復元することは、専門業者でなければ難しいでしょう。 したがってPDFから変換、編集したOfficeデータからあらためて書籍を制作する場合、それらはあくまでも原稿として取り扱うことになりますが、それでも作業内容によっては編集側、制作側双方にとって、大きな省力化に繋がる可能性があります。 一旦書籍データとして完成したInDesignドキュメントを、再び原稿データとして活用するために、誰もが容易に編集が可能なOfficeデータにするという目的ならば、Acrobat Pro DCのこの機能は十分利用価値があると言えます。1/2http://www.meisho-do.co.jpMeisho-do Creative Report Vol.45August 01,2018Acrobat Pro DCには、PDFをOfficeデータへ変換する機能があります。WordやPowerPointへコンバートし、それらが活用可能か検証しました。InDesignドキュメントから書き出したPDFを、Microsoft Officeデータ化検証InDesignドキュメントの
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