しかし、InDesignデータを1ファイルにまとめるという作業には危険が伴います。 当社では、以下で説明するようなリスクを踏まえ、ファイル結合を行う場合は、検査など必要な工程を経たうえで作業を進めています。■ファイル結合のリスクとは InDesignのデータを結合するにはいくつかの方法があります。ひとつは、InDesignのページパレットでページを選択し、別のドキュメントにドラッグ&ドロップする方法。基本的にはこの方法で行いますが、複雑なデータではこれが使えない場合があります。その際に使われる二つ目の方法が、ページ内にあるオブジェクトをすべて選択し、別のInDesignドキュメントにコピー&ペーストするというものです。 この方法には以下のようなリスクがあります。・ロックされているオブジェクトがあるとコピーされ■1ファイルのページ数 InDesignが1ファイルで作成することができるページ数の限界は9999ページとなっています。もちろんここまでページの多い本はほとんど存在しませんし、何千ページものデータを1ファイルで作成すると、容量が大きくなり過ぎて作業できなくなってしまいます。 当社でデータを作成する際は、通常10ページ程度を目安にファイルを分けるようにしています。ただし、文章中心でデータ量の比較的小さい小説などの書籍では、章などの単位で区切り、数十ページ程度で1ファイルにしています。また、お客様からご支給いただいたデータや、改訂などで再使用するデータについては、ファイルを分割したり前後のページに結合したりするなどの行為は行わず、そのままのページ構成を保ったまま作業を行っています。 当社が書籍のデータを分割して作成している理由として以下が挙げられます。・1ファイルのページ数が多いとデータが破損する可能性が高くなる。また、破損したデータが復旧できなかった場合の損害が大きい■ファイル結合のニーズ しばしばお客様から「すべてのデータをつなげて、全ページ1ファイルにして欲しい」といったご要望をいただく場合があります。これには以下のような理由が考えられます。・電子書籍(EPUB)化するため・プリントやPDF書き出しなどの作業をしやすくす・データの容量が大きくなるとパソコンの動作が遅くなり作業性が低下する・入稿したページから順次データ作成を進めることができる・ひとつの商品を複数のオペレータが同時に作業できるるためない・レイヤーがロックされているとコピーされない・オブジェクトのコピー漏れの可能性がある これにより、元々存在したオブジェクトが消失するというトラブルが発生します。 ひとつ目の方法も安全ではありません。InDesignには「コピー先のドキュメントの設定が適用される」という特徴があります。具体的には、コピー元のドキュメントに設定されている、スタイル名やレイヤー名などがコピー先のドキュメントに同名で設定されている場合、コピー先の設定が反映されます。双方のドキュメントが同じ設定になっていれば問題ありませんが、そうでない場合は予期せぬ部分に変化が表れます。複数のデザイナーやオペレータが作成したデータを統合するケースでは、こういったトラブルが発生する可能性はより高くなります。1/2http://www.meisho-do.co.jpMeisho-do Creative Report Vol.32 DECEMBER 01,2016複数のInDesignデータやPDFデータをひとつのファイルにまとめることで思いもよらぬ箇所に変化が表れるなどのトラブルが引き起こされることがあります。ファイルを結合することの危険性についてご紹介します。ファイル結合の危険について
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