▲http://www.meisho-do.co.jpMeisho-do Creative Report Vol.81July 17.20241/2■Illustrator組版の問題点 Illustratorは非常に優れたビジュアルデザイン制作用のアプリケーションで、ポスターやチラシ、ロゴなど様々なデザイン制作に広く活用されています。書籍や雑誌などページ物のデータ制作にIllustratorを使用するデザイナーも少なくありません。 しかしIllustratorでページ物のデザインや組版を行うとなるといくつかの問題が出てきます。 Illustratorはその仕様上、画像を配置するとデータ容量が大きくなりがちです。特に、大きな画像を縮小して配置するとそれが顕著です。データ量の増大は、アップロード・ダウンロード・保存に時間がかかる、作業効率が低下する、データが破損する確率が高くなる等、デメリットしかありません。 文字中心の書籍組版では、作業をいかに自動化できるか、一括処理できるかが仕事の効率や品質に大きく影響してきます。Illustratorにはそのような組版支援機能がInDesignに比べて少なく、多くの処理を手作業で行わなければなりません。 また、Illustratorはもともとページという概念を持たないアプリケーションです。現在のバージョンでは複数のアートボードをひとつのドキュメント内に作成できますが、それはページではなく個々に独立した台紙に過ぎず、InDesignのように自動でノンブルを生成することができません。ページの挿入、削除、左右移動が発生した場合、全て手作業で修正する必要があります。ページ物の制作にIllustratorが向かないのはこのような特性があるからです。■Illustratorの組版作業方法 デザイナーが作成したIllustratorデータを引き継ぎ、当社で組版を行う場合、大まかに以下の3通りの方法があります。①Illustratorデータのまま作業し完結 表紙やカバーなど本文以外のデータがIllustratorで入稿した場合にはこのパターンとなります。すでに文字組が行われている完成データの場合が多く、修正が入った際にもIllustrator上で対応します。②IllustratorデータをInDesignに配置する ページ物の本文データがIllustratorで入稿するパターンです。ページ物は面付して印刷しますが、面付するためにはページが切り分けられ、ページ順が設定されていなければなりません。そのためにはInDesignに配置することが必要です。 InDesignに貼り込むことで、ノンブルやインデックスの全体統一、ノンブルの変更やページの左右移動といったことも容易にできるようになります。ただし、あくまで中身はIllustratorデータですので組版作業の効率そのものは改善できません。③InDesignで組み直す Illustratorで作成されたデザインデータがフォーマットとして支給された場合はこのパターンになります。見た目がすべて一致するようInDesignでフォーマットを再現し、それと同時に効率的な組版が行えるよう文字組やスタイルシートの設定をしていきます。 全ページIllustratorで作成されたページ物のデータを、それによって大幅な作業効率の改善が期待できる場合は、InDesignで作り直すこともあります。 ページ物のデータは、強力な組版機能を備えたInDesignで作成することが望ましいと言えます。お手持ちのIllustratorデータのInDesign化を検討される際は、当社にご相談ください。最も効率よく校正にも手間のかからない方法を提案します。Illustratorで組版する際の問題点と解決方法について紹介します。イラストや図版などのグラフィック作成だけでなく、誌面全体のデザインにも活用されるAdobe Illustrator。Illustratorがページ物の組版に向かない理由・画像を配置すると容量が大きくなる・ページという概念がない・文字のアキ量設定が豊富ではない・正規表現スタイル機能がない・ルビを振る機能が搭載されていないIllustrator組版の問題点とその解決
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