portfolio_vol3
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おおざっぱな計算vs電卓 おおざっぱな計算に封筒の裏がよく使われるようになったのは、いつのことだろう? たばこの箱の裏、あるいはアメリカならテーブルナプキンの裏が使われはじめる前だったのか? それとも後だったのか? 「封筒の裏1」という表現は、最初にどこで考え出されたにせよ、正解に当たりを付けるおおざっぱな計算を象徴するものになっている。 ビジネスマンは封筒の裏を使って、新しいプロジェクトがどのくらい実現可能かを素早くチェックする。エンジニアは、思いついた解決法がうまくいきそうかをチェックする。そしてコメンテーターは、政治家や自称専門家やマーケティング担当者が次々に出してくる膨大な数値に解釈を加える。 もっと日常のレベルでは、おいしい儲け話にだまされて身ぐるみ剝がされるのを防げるかもしれない。 さらに封筒の裏を使えば、電卓に頼らなくても計算できる。 何だって? 電卓を使わずに計算? 時代遅れだと思う人も多いだろうし、マゾじゃないかと言う人すらいるかもしれない。いつでもスマホ(電卓アプリが入っている)がそばにあるのに、1もちろん律儀に封筒の裏を使う必要はなくて、どんな紙切れでもいい。この本を書いている最中に、消費者物価指数の計算に用いられる必需品のリストから封筒が除外された。いまでは封筒がない家もあるようだ。なぜ手計算や暗算をしないといけないというのか? 僕はけっしてアンチ電卓派ではない。電卓は欠かせない道具で、以前なら何分も何時間も、あるいは何日もかかっていた計算を、ものの数秒で片付けてくれる。大天才か、または時間が有り余っている人でない限り、31.40ポンド×96を正確に計算するには、実際問題として電卓を使うほかない。僕も多くの人と同じく、納税申告をしたり出張経費を計算したりするときは、たいてい電卓か表計算ソフトを使う。 でもほとんどの場合、わざわざ正確な答えをはじき出す必要はない。大事なのはおおざっぱな数値である。封筒の裏で計算すれば、数値の向こうに広がる全体像をとらえられるのだ。 たとえば、ある販売チームの売上目標が10000ポンドだったとしよう。1個31.40ポンドでこれまでに96個売った場合、おおざっぱに計算すると次のようになる。100個×30ポンド=売上は3000ポンド たとえこの概算値が数パーセント違っていたとしても、目標の10000ポンドにとうてい足りないのは間違いない。 医療費が10億ポンド増えたという政府の発表は、おおごとだろうか? 5000万人の国民一人一人の医療費が増えたのだろうか? 当然1人だけが10億ポンド増えたのではないだろうし、5000万人で均等に増えたのでもないだろう。でも封筒の裏で計算すれ10111第章精確な数値にはご用心009-038_sekainoneko_UMD_F1.indd 10-11009-038_sekainoneko_UMD_F1.indd 10-112021/05/13 10:472021/05/13 10:47 10の右肩に付いている指数は、掛け算のときには足し合わされ、割り算のときには引き算される。 たとえば、次のようになる。 90000×40=9×104×4×101=36×105 (=3600000) または、次のようになる。 700000÷200=7×105÷2×102=3.5×103練習問題(a)4×107を省略しない形で書くと?2第章計算道具1第章精確な数値にはご用心さり気ないあしらいで読書に楽しさをプラス●世界の猫はざっくり何匹? ●判型:四六判 ●D:相羽裕太 10の右肩に付いている指数は、掛け算のときには足し合わされ、割り算のときには引き算される。 たとえば、次のようになる。 90000×40=9×104×4×101=36×105 (=3600000) または、次のようになる。 700000÷200=7×105÷2×102=3.5×103練習問題(a)4×107を省略しない形で書くと?(b)1270を指数表記で書くと?(c)60億を指数表記で書くと?(d)(2×108)×(1.2×103)(e)(4×107)÷(8×102)(f)(7×104)÷(2×10-3) 正解は200ページ。 小数で割るときには、両方の数を10倍していって、割る数が小数でないようにすればいい。たとえば、次のようにする。 0.006÷0.02=0.06÷0.2=0.6÷2=0.3練習問題(a)1000÷20(b)6300÷90(c)160000000÷80(d)2200×0.03(e)0.05÷0.001 正解は200ページ。大きい数の「指数表記」を使う 科学者が測定する数は巨大だったり微小だったりすることが多く、そうした数を使って計算するときには「指数表記」というものがよく使われる。指数表記とは、すべての数を1個の数字と10の累乗の組み合わせで表すというものだ。たとえば400は指数表記では4×102となる。64652第章計算道具039-078_sekainoneko_UMD_F1.indd 64-65039-078_sekainoneko_UMD_F1.indd 64-652021/05/13 10:472021/05/13 10:471第章精確な数値にはご用心009-038_sekainoneko_UMD_F1.indd 9009-038_sekainoneko_UMD_F1.indd 92021/05/13 10:472021/05/13 10:47こだわり POlNT!読み物Editorial08モリサワ、フォントワークスなどの多彩な書体群から、ご要望にぴったりな書体をご提案します。数式を手書きに…フォントで対応できますontF「猫」がテーマの一冊。随所に猫をあしらって、本全体の雰囲気を盛り上げます。さりげなく飾られた「猫」探すのも楽しいbjectO

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